大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

盛岡地方裁判所 昭和56年(行ウ)1号 判決 1983年2月24日

原告(第一号事件) 五十嵐孝吉 外二名

(第七号事件) 有限会社青山興業所 外六名

被告 岩手県知事

主文

原告らの訴えをいずれも却下する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

〔昭和五六年(行ウ)第一号事件の主位的請求〕

1  被告が昭和五五年九月二六日になした「みたけ緑地」都市計画決定はこれを取消す。

2  被告が昭和五五年一〇月一四日になした「みたけ緑地」都市計画事業認可はこれを取消す。

3  訴訟費用は、被告の負担とする。

〔昭和五六年(行ウ)第一号事件の予備的請求及び同第七号事件の請求の趣旨〕

1  被告が昭和五五年九月二六日になした「みたけ緑地」都市計画決定及び同年一〇月一四日になした「みたけ緑地」都市計画事業認可は、いずれも無効であることを確認する。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  本案前の申立及び請求の趣旨に対する答弁

〔本案前の申立〕

主文同旨

〔本案に対する答弁〕

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は、原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  原告ら

〔本案の主張〕

1 被告は、昭和五五年九月二六日、盛岡市月が丘三丁目、みたけ三ないし六丁目及び岩手郡滝沢村滝沢地内における「みたけ緑地」なる緑道に関する都市計画(以下「本件計画」という)を決定し、同年一〇月一四日、右計画の施行者である盛岡市に対し、右計画のAルートにつき事業認可(以下「本件認可」という)をした。右Aルートの事業対象となつている土地は以前原告らがその組合員である観武ケ原開拓農業協同組合の所有であつたところ、盛岡市から道路拡幅用地に供するという理由でたつて要請があつたので昭和四四年七月二五日盛岡市に売渡し、市道敷地として道路に供されていたのを、本件計画は右道路に幅員九メートルの緑道を建設しようというものである。

2 しかし、右緑道が建設されると従来右路線に接したところに土地や住宅を所有したり賃借している者にとつては、緑道部分は車の通行が出来なくなるから公道に出るために緑道を歩かなければならず、公道に面していないということで建築基準法上建物を建てることもできなくなるなど、全く既設道路が廃止されたのと同等の不利益を蒙る。

また本件計画の施行地域付近は工業地域に指定されており、今後ますます工場、倉庫、事務所等の建物が建築される予定であるのに、本件計画により車道の幅員が六メートルに縮小されるから大型車の通行が困難となる、商店街としての発展も望めなくなるなど、本件計画が地域の発展を阻害することが明白であることから付近の住民もほとんど全員が反対である。

被告は健全な都市環境づくりということをしきりに強調するが、本件計画の対象になつている土地の位置等にかんがみると、本件緑道が開設されても例えば旧盛岡市内の者たちがその緑道に遊びに行くことも殆ど予想されないものである。

本件は新幹線の開通や終末処理場のような公共性の高いものではないから、このようなものは利害関係人のほとんど全員が反対であれば、計画を実行すべき理由が全くないのであり、計画自体無効と解すべきである。

3 被告は本件計画を決定するに当り、緑道なるものが岩手県下で初めてで住民が全くその内容を知らなかつたにもかかわらず、十分な説明をしなかつた。成程昭和五五年八月五日に本件計画路線に接する住民を対象に盛岡市の緑地公園課の係員による説明会が一度もたれたが、お座なりなもので、住民らにとつて最も関心のある緑道に自動車の乗り入れが一切禁止されるというような点については全く説明がなかつたものである。

4 後述のとおり原告らはいずれもAルート(原告高橋はBールート)に接して土地を所有し、地上に住宅を建て自ら又は他人に賃貸して利用しているものであるが、本件計画の実施により前記の如く深刻な不利益を受ける。よつて本件計画及び認可の無効、取消を求めて本訴に及んだ。

〔被告の本案前の主張に対する反対主張〕

1 一般地域指定が抗告訴訟になじまないとされるのは、通常、計画決定についで土地収用が行なわれ、住民は、自己の所有地が収用される際に抗告訴訟によつて争うことができるからである。しかし、本件緑道の予定地は盛岡市が観武ケ原開拓農業協同組合から買い受けた土地であるため、本件計画の決定及び事業認可により着工され、完成されてしまうのであつて、住民は本件訴訟以外に争う方法がなく、その権利を守る方法がない。その意味で、抗告訴訟の対象にならないという被告の主張は理由がないというべきである。

2 本件の事業認可は、行政機関相互の行為であつても、それによつて盛岡市の事業の施行が認められているものであつて、右の施行が原告らの権利を侵害するものである以上、抗告訴訟の対象となる。

3 原告五十嵐孝吉は、別紙物件目録一記載の各土地を、原告高橋従信は同目録二記載の各土地を、原告佐々木基雄は同目録三記載の各土地を、原告青山興業所は同目録四記載の土地を、原告瀬川勇一は同目録五記載の各土地を、原告村谷興市は同目録六記載の土地を、原告山崎スエは同目録七記載の土地を、原告菊池徳治は同目録八記載の土地を、原告大鐘滝雄は同目録九記載の土地を、原告西村三三は同目録一〇記載の土地をそれぞれ所有しているところ、右の各土地はいずれも本件計画路線に接している。

従つて本件計画が実施されると前記(本案の主張2参照)のような不利益を蒙るから、当然原告らには本件計画及び認可を争う当事者適格がある。なおいま少し詳しくこの辺の事情を例示すると、

(一) 原告佐々木の別紙物件目録三記載の所有地は、間口が一一二・五メートルであるところ、緑道の予定地に面している部分には、現在、自宅のみが建設されているが、将来、分譲するとすれば、間口一八メートルで六か所には分譲でき、貸家を建築するとすれば、最低一〇か所の商店又は事務所に賃貸できるのである。しかし、本件緑道が計画どおり建設されると、一部を除き公道に面しないことになるので、分譲も貸家の建築も全く不可能となる。

(二) 原告菊池は、別紙物件目録八記載の所有地に貸家を建てマスプロアンテナ販売店に賃貸しているが、本件緑道が建設されると右の貸家には車による出入が全く不可能となるので、右賃貸借契約は解除され、その後も賃借人が現れることは望めない状態となる。

(三) 原告瀬川は、別紙物件目録五記載の所有地に貸家を建て佐々康ガラス店、中野悟郎、阿部勇、山崎昭夫及び大谷家具にそれぞれ賃貸しているが、本件緑道が建設されると右のうち佐々康ガラス店以外は車の出入が不可能となるので、賃貸借契約が解除される可能性がある。

(四) 原告山崎は、別紙物件目録七記載の所有地に貸家を建てコピア販売株式会社に賃貸しているが、本件緑道が建設されると車の出入が不可能となるので、右の賃貸借契約は解除され、その後賃借人が現れることは望めない状態となる。

4 取消訴訟の出訴期間について、処分のあつたことを知つた日とは、原告らが現実に知つた日と解すべきである。本件においては、原告らは、昭和五六年一月一四日に本件計画の図面を初めて示され、本件計画が決定され、本件認可がなされたことを知つたのである。

二  被告

〔本案前の主張〕

1 原告らの訴えは、いずれも抗告訴訟の対象とはならず、不適法なものである。すなわち、抗告訴訟は、行政庁の公権力の行使に対する不服申立訴訟であり、その対象たる行政行為は国民の権利義務に直接関係のある行為であることを要し、行政権の作用であつても、直接国民の権利義務に法律上の影響を及ぼさないものは抗告訴訟の対象とならないのであるところ、緑道を設けるとの本件計画決定は、一般的かつ公益的見地から定められたものであつて、原告らに対し新たな義務を課したり、原告らの権利を侵害するものではない。

2 また被告の盛岡市に対する事業認可は、行政機関相互の行為であり一般市民に対する公権力行使とは全く性格の異なるものであるから、抗告訴訟の対象とはならない。

3 さらに原告らは原告適格を有しない。すなわち、行政処分の無効又は取消しを求めることができる者は、当該行政処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者に限られると解すべきであり、右にいう法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることによつて保護されている利益であり、それは、行政法規が他の目的、ことに公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきものである。ところで、都市計画決定は、都市計画法の目的とする都市の健全な発展と秩序ある整備という公共の利益の実現のためになされるものであり、付近住民の権利若しくは具体的利益を直接保護したものではないから、原告らの主張する利益は都市計画決定の目的である公益の保護の結果として生ずる反射的利益ないし、事実上の利益にすぎず、個人的利益として法律上保護されたものとはいえない。

また、本件計画は、市道敷地のうち現在の歩道を緑化して緑道とするもので、道路法上の道路たる機能を維持しながら、かつ良好な都市環境を形成しようとするものであり、緑道の造成によつて原告らは、従前の土地の利用を妨げられることはなく、通常の通行を妨げられることはないのである。この点からも、原告らは、本件抗告訴訟の当事者としての資格を有しないというべきである。

4 原告らが本件抗告訴訟を提起しうるとしても、本件計画及び本件認可は行政上の法律関係の客観的画一性の必要と公示制度の趣旨に鑑み、原告らが現実に知つたと否とにかかわらず、その旨の告示があつたことによつて、処分がなされたことを知つたものとみなされるところ、本件計画決定は昭和五五年九月二六日に、本件認可は同年一〇月二一日にそれぞれ適法に告示されたので、原告らは処分のあつたことを知つた日から三か月以内という出訴期間を徒過したこととなるため、本件取消訴訟は不適法である。

〔本案の主張〕

1 原告らの主張1の事実は認める。

2 同2の事実については、そのうち本件計画の施行地域付近が工業地域であること、本件計画により車道の幅員が六メートルになることは認めるがその余の事実は否認する。

本件緑道は、従来市道の一部として整備不十分のまま使用されてきた土地を整備し、総幅員一七メートルの道路のうち、すでに造成されている歩道一・五メートル、車道六・五メートルの部分のほかに幅員九メートルの緑道を建設するものであり、その構造は、緑地と歩道、自転車道及び道路沿いの宅地への出入のための道路が一体化されたものであり、都市公園と道路の双方の性格を有する兼用工作物の関係にあるものである。そこで原告らはこれが通常の道路に比し、沿道の土地利用を妨げると主張するが、道路交通法の関係法条及び緑道の構造をみればそのようなことはない。

また、本件緑道の設置されるみたけ地区は、終戦後の開拓地であつたのが次第に都市化され、開発されてきており、地区の約半分が工業地域として指定され、新興住宅の中に工場が散在した土地利用となり、住宅地としての進展の度合いが大きい中での住工混在型のスプロールが進行するおそれがある。こうした環境において児童にとつては安全な通学路を、歩行者自転車通行者にとつては、自動車道と隔離された安全でくつろぎのある花と緑に囲まれた通路を確保することは地域住民にとつても、また市としての健全な都市づくりにおいても必要かつ有意義なことであり、みたけ地区は緑道を設けるにふさわしい適地である。なお、みたけ地区については幹線道路としてすでに1、2、1前潟北厨川線が位置づけられており、緑道の予定されている市道は幹線道路として位置づけられていない。

3 また原告らは本件計画決定に手続的瑕疵があるようなこともいうが、本件計画は、次のとおり都市計画法所定の手続を経て適法に決定された。

(一) 事業主体である盛岡市は、地域住民に対する公聴会としての性格を持つ集会を、次のとおり開催した。

(1) 昭和五六年六月二七日、盛岡市青山町青山地区活動センターにおいて各町内会長をもつて構成される青山地区活動推進委員を対象としたみたけ緑道懇談会を開催し、その際、詳しい資料も配布した。

(2) 昭和五六年八月五日、右場所において住民を対象とした説明会を開催した。

(二) 昭和五五年七月中に、盛岡市の内部において管理者間の協議を行つた。

(三) 昭和五五年八月一日から同月一四日までの間、盛岡市役所公園緑地課、岩手県都市計画課及び盛岡土木事務所において右計画案を縦覧に供した。

(四) 昭和五五年八月二日、関係市町村である盛岡市及び滝沢村の意見を求め、これに対し、滝沢村からは同月一六日、盛岡市からは同月二〇日それぞれ異議がない旨の回答があつた。そこで同年九月一日、岩手県都市計画地方審議会に付議したところ、原案どおり可決された。その後、同月一九日付で建設大臣の認可を得た。

(五) 被告は、昭和五六年九月二六日、都市計画決定変更の告示をし、関係図書を県都市計画課、盛岡土木事務所及び盛岡市役所において縦覧に供し、同年一〇月二一日、盛岡市に対し、本件認可をした。

4 原告五十嵐、同高橋、同佐々木が本件計画路線に接して各主張の土地を所有していることは認めるが、その余の原告らについては知らない。しかし、いずれにしても原告らの主張する違法性とは要するに本件計画の内容が主観的に気にいらないというにすぎず、無効の理由となるべき重大かつ明白な瑕疵はもちろん取消の理由とすべき瑕疵も存在しない。

第三証拠<省略>

理由

一、 まず被告の本案前の主張について判断する。

原告ら本案の主張1の事実については当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いのない乙第六号証の一ないし九、第一〇号証、第一一号証の一ないし五及び第一二号証並びに証人太田昭の証言によれば、本件計画は広域都市計画決定の一部を変更して盛岡市月が丘三丁目並びにみたけ三丁目、四丁目、五丁目及び六丁目並びに岩手郡滝沢村滝沢の各地内の幅員約一七メートルの市道に幅約九メートルの都市計画施設たる緑地を作るというものであり、また、本件認可は本件計画決定に基づいて「盛岡広域都市計画公園事業三号みたけ緑道」として盛岡市月が丘、みたけ三丁目及び四丁目内の各地内の事業の認可をしたものであることが認められ、他に右認定に反する証拠はない。

1  初めに、本件計画決定及び本件認可が抗告訴訟の対象となる処分といえるかどうかであるが、およそ抗告訴訟の対象となる処分といいうるためには、当該行政庁の行為が個人の法律上の地位ないし権利関係に対し、直接に何らかの影響を及ぼすような性質のものでなければならないと解されるところ、本件計画決定は、都市計画決定の変更決定ではあるがその法的性格は都市施設に関する都市計画決定と同一であると解され、その内容は前記認定のとおり、幅員約一七メートルの市道に幅約九メートルの緑地を作るというものであつて、それ以上に緑地の具体的な構造などは本件計画自体からは必ずしも明確ではなく、また、本件計画決定が告示されると、都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとする者は被告の許可を要する(都市計画法五三条一項)という制約を受けることになるが、これは計画の円滑な遂行のために特に法律の付与した付随的な効果であつて、本件計画決定自体の効果として発生する制約とはいえないものと解され、結局、本件計画決定は、爾後に予定されている都市計画事業の円滑な遂行を図るための一般的、抽象的な計画の決定にとどまり、特定の個人に対し直接その権利義務に変動を及ぼす性質のものではないといわざるを得ない。よつて本件計画決定は抗告訴訟の対象にはならないものといわざるをえないが、しかし、本件認可については、都市計画事業の認可の告示がなされると、当該事業地内における土地の形質の変更等が制限される(都市計画法六五条一項)が、認可の効力はこれにとどまらず、都市計画法七〇条により、認可は土地収用法二〇条の事業の認定に代えるものとされることから、当該事業施行者に土地の収用権が付与され、さらに事業認可が告示されると補償金の額の固定及び関係人の範囲の特定(都市計画法七一条、土地収用法八条三項、七一条一項。もつとも、都市計画法七一条によれば、一年ごとに変動しうる。)という効果が生じるのである。かかる点を考えると、事業の認可がなされ、告示されるにいたると、認可ないし告示自体の効果として、当該事業地内における土地所有者に対し、直接的な権利の制約がなされるものというべきである。被告は、本件認可が行政機関相互の行為であることを理由として抗告訴訟の対象とならない旨主張するが、認可の効力が右のとおりであることからいつて、被告の右主張は採用できない。

2  そこで、次に、原告らが本件認可について抗告訴訟を提起しうる原告適格を有するか否かについて検討する。およそ抗告訴訟における原告適格を有する「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法九条、三六条)とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され又は侵害されるおそれがある者をいうものと解されるところ、原告五十嵐、佐々木らが、その主張する各土地を所有していること及び右各土地が本件緑地の建設が計画されている市道に接していることは当事者間に争いがなく、原告五十嵐孝吉本人尋問の結果によりいずれも真正に成立したものと認められる甲第二号証の一ないし三、原告佐々木基雄、原告瀬川勇一、同西村三三及び同原告会社代表者山口伊和雄の各本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、原告有限会社青山興業所、瀬川、村谷、山崎、菊池、大鐘、西村らがその主張する各土地を所有していること及び右各土地が本件緑地の建設が計画されている市道に接していることを認めることができ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。しかしながら前記収用権が付与されるのは事業認可の対象地に限られるから、本件認可の効力として原告らの所有する土地につき、収用権が付与されることはなく、また、原告らの市道を利用する利益は公有財産たる市道の性質からいつて具体的な原告らの私権とみることはできないから、本件認可が原告らの権利を侵害するものということはできない。また、抗告訴訟における原告適格を基礎づける「法律上保護された利益」とは、行政法規が個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益と解されるのであるが、都市計画法は「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」(同法一条)を目的とし、都市施設に関する都市計画は「円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定める」(同法一三条一項四号)こととされており、事業認可の内容に関する基準としては都市計画に適合することが求められている(同法六一条一号)にとどまる。そうすると、本件認可も、円滑な都市活動の確保及び良好な都市環境の保持という公共の利益の実現のためになされるものであつて、事業施行地に接する土地の所有者等の個別的な利益の保護を考慮してなされる処分ではないものと解され、本件において原告らが主張する、原告らの利益不利益なるものは都市計画から生ずる反射的利益ないし事実上の利益不利益にすぎず、都市計画法上、原告らに対し直接保護された利益ということはできないのである。

右によれば、原告らは、いずれも本件認可の取消し又は無効確認を求める法律上の利益を有するものとはいえないから、その原告適格を有しないものといわざるをえない。

二、 以上によれば、他の判断に立ち入るまでもなく本件訴えはいずれも不適法であるから、これを却下することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条一項を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 海老澤美廣 村上久一 佐久間邦夫)

物件目録<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例